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筆文字の魅力

スマホやパソコンで文字を打つことが当たり前になった今。
『書く』という機会はいつの間にかずいぶん減ってしまいました。
ですが、やはり手書きの文字というものは見ていると不思議と心が温かくなります。
このブログでは、手書き文字の中でも『筆文字』に特化し、筆文字の魅力や、日本人と筆文字の関わりについてお話したいと思います。

筆で書く機会がなくなってきた現代

気づけば、私たちが筆を持つ機会はほとんどなくなってきています。
慶弔袋に名前を書くときくらいでしょうか。
年賀状も手書きからパソコン印刷へと変わり、現代の日常の中で、「墨の香り」や「筆の感覚」を感じることはなくなってしまいました。

デジタル文字はとても便利です。
手早く美しく、誰にでも読める文字です。
けれどその一方で、「書く」という行為に込められていた心の温度が、少しずつ薄れていっているようにも感じます。

日本人が大切にしてきた「筆書きの芸術」

日本人において「筆で字を書く」ということは、ただ文字を書くという行為ではなく「心を映す芸術」として大切にされてきました。

平安時代の貴族たちは、手紙や詩を書に託し、その筆跡からも人柄や心情を感じ取っていました。
また禅の世界では、書は「無心」を表す手段として用いられ、書くことそのものが“修行”でもありました。

つまり筆書きとは、言葉を伝えるためだけのものではなく、「その人の在り方」や「内側の静けさ」を表現するものでもあったのです。

墨の香り、筆の重み、紙の質感――。
筆をとり、墨をすり、紙に向かう。
その一連の動作すべてに意味があり、その時間の中で人は自分と深く向き合ってきました。

また、五感をすべて使って心を整えながら書くという行為は、日本人が大切にしてきた“祈り”の形でもありました。

「余白」の美もまた、書の中で特別な存在です。
何も書かれていない部分にも、静かな呼吸や間があり、その余白があるからこそ、文字が輝きます。

言葉を詰め込みすぎず、空間に美を見いだす感性は日本人特有のものであると感じます。

時代が変わり、暮らしが便利になるほど、この「静けさの中の豊かさ」は見えにくくなっているかもしれません。
筆文字は、その感性を思い出させてくれる存在のひとつだと思います。

そして今でも、「筆文字」は時代を超えて生き続ける“日本のこころ”です。

筆文字の魅力とは

筆文字には、印刷された文字にはない「ぬくもり」と「息づかい」があります。
同じ文字を書いたとしても、全く同じものは二度と生まれません。
そこが筆文字の最大の魅力だと思います。

強く筆を置いた瞬間の勢い、かすれの中に見える静けさ―
その中には書き手の感情やその瞬間の空気までもが閉じ込められています。

デジタル社会において筆文字とは、「人の手によって生まれる芸術」として、見る人の心を和ませ、どこか懐かしいような安心感を与えてくれます。

ぜひ、筆文字を眺めてみてください。
きっと心落ち着く感覚があるかと思います。

最後に

筆文字とは単なる「文字」ではなく、書き手の想いや温かさがダイレクトに伝わる古からの芸術です。

デジタルがどれだけ進んでも、この“偶然の美しさ”は再現できません。

今、この時代だからこそ、筆文字を日常の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。



この記事の著者

結月花風

神奈川県在住。左利き。
母の勧めで幼少期から書道教室に通い始める。右手で書くことに苦戦しながらも、少しづつ書に惹かれていく。高校・大学と本格的に書を学び、高等学校書道教員免許を取得。就職は異なる分野であったが、『書道グッズ展inサンフランシスコ』での出展を機に再び筆を手にする。『日常に癒やしを』をテーマに、アート書道と天然石を取り扱うショップを立ち上げる。現在オーダー作品も募集中。
2026年2月『第31回 日本の美術全国選抜作家展』に出展決定。

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